トーマスのつれづれ野球雑記

ただの野球好き(ホークスファン)が好き勝手に野球の話をするブログです。

「最低限の仕事」とは?

たとえば、プロ野球中継での一場面。

 

ノーアウトランナー1、3塁で打席に迎えるのは4番を打つ長距離打者。

いかにも大量得点を期待できそうな場面である。

 

しかし、結果は外のスライダーを引っかけてショートゴロ。

6-4-3の併殺打となり、1点は入ったものの一気に2アウトランナーなしになってしまった。

 

大きなため息に包まれる観客席。最低でも2~3点は入りそうだったのに…。

 

そして、ベンチへかえる打者に対して解説者やアナウンサーたちがこんな言葉をかけるのである。

 

最低限の仕事をしてほしかったですね」

 

 

プロ野球中継などを観ていると、一度は耳にしたことがありそうなフレーズ、状況ではなかろうか。

 

なるほど、最低限の仕事。

 

確かに、多くが一般平均よりも高いサラリーをもらっているであろうプロ野球選手だ、最低限でも仕事をしてもらわないと…というのは至極もっともである。

 

では、「最低限の仕事」とはいったいなんだろうか?

 

ノーアウトランナー1、3塁で併殺打を打つことは本当に仕事をしていないことになるのだろうか?

 

たとえば、1点差を追いかける終盤の攻撃で同じような状況だったら?

 

自チームが、同点にさえ追いつけば鉄壁のリリーフ陣で引き分け以上には持ち込める計算が立つようなチームだったらどうだろう。

 

ここで1点でも取りさえすれば、負けないあるいは勝つ確率が高くなりそうな場面といえそうである。

 

よくこういう場面では、最低でも犠牲フライを打ってくれということを聞いたりもするが、エース級の投手であればそう簡単に犠牲フライになるような飛距離のある外野フライなど打たせてはくれない。

 

フライを打ったはいいが外野まで飛ばずに内野フライで1アウト、次打者が内野ゴロで併殺打、3アウトで結局無得点…など語るに恐ろしい結末である。

 

それならば、ノーアウトの時点でショートゴロゲッツーを打ってくれたほうがよっぽどいいのではなかろうか。

 

 

断っておくが、私はノーアウト1、3塁で併殺打を打った打者をすべて仕事をしたと評価しよう、などという気はない。

 

しかし、どうしても1点取りたい場面で、2アウトと引き換えにしてでも1点を取りにいくというプレーは立派な「最低限の仕事」なのではないかと思う。

 

 

野球選手の仕事はヒットを打つことでも三振を取ることでもなく、「勝つ」ためにプレーすることであると私は思っている。

 

だからもし今後、たとえで示したようなシチュエーションが実際におとずれてお気に入りチームの打者が併殺打を打って点が入ったときは、あふれ出そうなため息をぐっとこらえて拍手を送ってほしい。

 

彼は勝つための「最低限の仕事」をしたのだ。